熊谷朝臣の備忘録

自分のための備忘録です。時に告知板だったり、時に(誰も聞いてくれなかった)自慢話したりします。

ランダウの誕生日

そういや、もう3日も経ちますが、ランダウの誕生日でしたね。

 僕自身は、ランダウ・リフシツの理論物理学教程にお世話になったこともあり、あと、その強烈な人生に魅入られた(もちろん、真似したくはない)一ファンとして、妙に感じるものがある日だったのです。

 で、僕のホームページにある、

ミニマム・リクワイアメント

tomo-kumagai.eco.coocan.jp

何を意識してるかお分かりでしょうか?

 そう、ランダウの理論ミニマムなんです。もちろん、さすがに、あそこまで強烈ではないですが(そもそも、僕の能力がついていけない)。

リクエストにお応えして

表題の通りです。ホントは、こんなヒマ無いし、書くんだったら、もっと大事なこと(例えば、先月のアメリカ地球物理学会参加報告とかベトナム出張報告とか)あるんですが、ま、息抜き(か?)ということで。

tomo-kumagai.eco.coocan.jp

お楽しみ下さいませ。

研究紹介

東京大学農学生命科学研究科のホームページ

www.a.u-tokyo.ac.jp

で、僕の最近の研究成果が紹介されてます。

熱帯雨林が死んでいく理由を探る

ご笑覧いただければ幸いです。コメントなんかくれたら嬉しいなぁ。 

 この時の議論をもとに、今、論文書いてます。こっちこそが本題です。頑張ります。

ドイツの話ーその2

 南光さん(森林総研)から良い写真もらったので、せっかくだから紹介します。南光さん、大感謝です。

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 ワークショップの最終日のお食事会です。エタースブルグの近くの町、ワイマールにはフランツ・リスト音楽大学があり、そこの教授と教え子の2人のミニコンサートが行われました。感想・・・僕は、まったく音楽のことは分からないけれど、この人達の技巧が物凄いのだけは、よく分かりました。こんな近くで、こんな人達の生演奏を聴くなんて経験したことないし。ホントに良い経験をさせてもらいました。

 で、お約束ですが、師匠(Gabriel Katul先生:Duke大学)とのツーショット。

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 思えば、初めてGabyの論文を読んで感動した1999年から、どうしてもGabyに習いたいと願って、2002年にDuke大学に行くことが実現して、それからずっと関係が続いてて、今や、一緒にセッション組むことができた。なんとも感慨深いものがあります。

 この写真撮る前、Gabyに、

Gabyと僕の関係は、ヨーダルーク・スカイウォーカーの関係のようなものだ。

と言ったら、「何を言ってるんだ。Tomoとの関係は対等な研究者同士の関係だよ。」と言ってくれたんだけど(それはそれで嬉しいんだけど)、被引用回数が30000に達するような人に、そんなこと言われてもねぇ。

ドイツから帰国

 10/1~5の日程で、ドイツ・ワイマールからバスで15分ほどの地、エタースブルグにて、アメリカ・デラウェア大学(出資はUNIDEL Foundation, Inc.から)主催で

ETTERSBURG ECOHYDROLOGY WORKSHOP

が行われました。世界中から名立たる生態水文学者が呼ばれ、僕も参加してきました。ま、僕もそれなりに、まあ、認識されてるんだと思うことにしてます。場所は、

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嘘じゃないんです、上の写真のようにお城の中に作られた学校をホテルに改造したところ:Schloss Ettersburgで開催されました。

 目的は、「世界水危機の解決に対して生態水文学は何ができるか?」を考えることで、アプローチとして、

1. 社会水文学の適用

2. 旧来・最新の手法・計測技術を考える

3. 水文現象のプロセスを掘り起こす

4. モデル・シミュレーションの利用

を四つの柱としました。で、僕は、「4.モデル」を(なんと)GabyKatul先生ですよ)と組んで仕切るべく、はるばるドイツへ、なのです。

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自分のセッションでは、講演もしました。結構受けた(笑いが取れた)ので、まぁ、満足してます。

 面白いのは、各セクションの話題について、毎回、違うグループが作られ、それぞれのグループが割り当てられた部屋で議論しなきゃいけないってことです。で、その各部屋ごとにデラウェア大学の(大体、博士課程の)学生が割り当てられ、彼らは、その議論の議事録を作らなきゃならないのです。いや、それどころか、その直後、みんなの前で発表しなきゃならないのだから、これはスゴイ”実習”だと思いました。ウチの学生にこれができるのだろうか・・・本気で気分が暗くなりました。

 こんなんがあるから、デラウェア大学主催な訳です。各セッション(四つの柱)毎で論文がまとめられ、それをさらにまとめて論文「世界水危機の解決に対して生態水文学は何ができるか?」が出来上がるという流れを決めて(=責任者を決めて:うがぁ、責任者の一人になっちまったぁ)会を閉じました。

 しかし、なんとも贅沢な”学生実習”だと思います。こっちも結構ミーハー気分で参加しました。例えば

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右はお馴染みDelさんですが、左は、あの(炭素循環やってる人には”神”ですよね)Robert Jackson先生(スタンフォード大学)ですね。一緒に写真に入ってもらいました。写真を撮ってくれた飯田さん(森林総研)に大感謝な次第であります。ちなみに、奥にいる男性は、ミシガン大学の学長さんだそうで、会議が終わった後で、その偉さに気付いた人も複数いました(僕が知らなかっただけで、年配の”伝説の斜面水文学者”もいたようです)。

 こういう機会の度に、自分の小ささを思い知らされ、「もっと頑張んなきゃなぁ。」と思います。こういう機会をもらえることは大変な幸せですが、「こういう機会がもらえるくらいは、これまで頑張ってきたんだなぁ。」とも思います。

ますます精進する所存です。

トランプの野郎、やりやがった!!

この記事:

science.sciencemag.org

ですがね、トランプの野郎、とうとうやりやがった!!ですね。とうとう、毎年10億円規模予算のNASAの研究プログラムCarbon Monitoring System (CMS)(炭素循環観測システム)を (人知れず)潰してしまったようです。

 トランプ(とホワイトハウス)は、これまでも繰り返しNASACMSを含む地球科学関連予算を削ろうとしてきたし、しまいにはOrbiting Carbon Observatory 3 (OCO-3)まで潰してしまおうとしています。OCO-2の方には、炭素循環・CO2ソース/シンク検出研究だけでなく、太陽光誘発クロロフィル蛍光研究でもお世話になってる人、多いんじゃないですか。やつら、OCO-3の方を潰そうとしてますよ!!

 2010年以来、CMSは65もの炭素循環研究プロジェクトを支援してきました。その多くは、森林生態系の炭素貯留能力の理解に関する研究ですよ。

 CMSは、リモートセンシングを利用して、「それぞれのREDD+実施国でREDD+が適正に実施されているのかを調べる研究」を篤く支援してきました。おかげで、人が簡単には入っていけないような奥地の森林の炭素収支(伐採や道路建設で失われた炭素や森林衰退を止めることで得られた炭素)を知ることができたのです。今や、そんな奥地森林の炭素収支を知ることは不可能となった、と言います。

 大変残念なことです。ふざけんなトランプ!!なのは間違いないです。でも、(アメリカの外にいる)僕らに何かできるわけでもないのも事実です。そうすると、記事にもあるように:

気候緩和策や炭素循環観測は、今やアメリカでは優先順位の高い研究ではない。しかし、問題がどこかへ行ってしまうわけではなく、それは、他の国では依然重要な研究なのだ。

なのです。気候変動は人類共通の敵なのです。だから、僕らは僕らのできるところを頑張りましょう。それしかないです。日本でできることを日本で頑張る、ってことになるのでしょうか。GOSAT2

www.satnavi.jaxa.jp

には凄く期待してます。これに入れ込もう、と強く決意した次第です。

論文を書かない研究者は、ネズミを捕らないネコと同じである

なかなかに刺激的なタイトルをつけてしまいましたが、元は以下のお話です。

yiyiwata.jimdo.com

 これは、もともとは海洋化学の大家である角皆静男先生のホームページにあった文章ですが、先生が亡くなられてホームページが閉鎖されてから、北大の渡辺豊先生がご自身のホームページ上で再現されたようです。ありがたいことです。

 ここのところファーストで論文書いてません。実は、それにはそれなりの理由があって、2年ほど前のこと、

大きな大きなアイディアがある。そのためには、まだまだ修行が足りない。そのアイディアを実現するための勉強が必要だ。業績数を増やすためだけのような小さな研究(実は、結構、そういう研究嫌いじゃない)はやってる暇がない。大きな大きな研究のために、意を決して、ファーストで論文を書くのをしばらく我慢しよう。

と思ったのでした。

 で、なんでこんな話題出したかと言いと、上で書いたこと(2年前思ったこと)は完全に間違いだって気付いたからでした。論文を書かない研究者は「ネズミを捕らないネコ」ではありません、粗大ゴミだと思います。うーん、言い過ぎか。でも、論文を書くのを辞めた段階で研究者を名乗るのも辞めるべきです

 もちろん、粗大ゴミには共著で立派な論文を発表している研究者は含まれません。そのファーストではないけれど、その研究者の参加のおかげで立派な大研究になったという例は幾らでもあります。共著者としての生き方ってのもアリだと思います。

 実は、この2年は、その生き方を選んでました。修行の後、ファーストで大きな論文を書くという思いを残しつつ、です。でも、気付きました。ファーストで論文を書くことを放棄するのは、とても楽な道なのです。そして、いっぺん、その楽な道に慣れたら、なかなかファーストで論文を書く厳しい道には戻りにくいのです。

 大きな試合に勝つために、小さな試合に出るのを止めるというのは、大抵のスポーツで当てはまらないのではないでしょうか?小さな試合で勝つことを積み重ねて大きな試合に出るチャンスを掴み、そこでの大勝利の可能性を高めるのでしょう。僕のイメージにあるのは、錦織圭選手ですね。で、宣言します:

たとえ小さな研究であっても、ガンガン論文書きます。もちろんファーストで。その先に大きな研究があると信じます。