熊谷朝臣の備忘録

自分のための備忘録です。時に告知板だったり、時に(誰も聞いてくれなかった)自慢話したりします。

幸せな人生

南部陽一郎先生が亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。

 南部先生の業績に関する僕の知識は、一般向け科学雑誌レベルのものに過ぎませんが(それでも、南部先生が現代物理学の最高峰の一人であることは容易に理解できます)、その科学の裏にある”人間の面白さ”に魅了されてしまい(南部先生の評伝は山ほどありますから)、以来、ずっとファンなのです。

 南部先生のことが書かれた文章は山ほどありますから、別にここで繰り返す必要もないと思います。僕が言いたいのは、なんと幸せな人生だったか、なんと羨ましい人生だったか、ということです(ちなみに、僕は、自分でも不思議なくらい、人のことを羨ましいと思うことがありません。なぜだか僕も分かりません)。

 何が、羨ましいか?それは、おそらく人類最高の知性を有してたから(いくつかの評伝で、明らかだと思います)こそ可能であったのでしょうが、群れることを嫌い、やりたいことをやりたいようにやった孤高の人(だからと言って、全然偉そうでない)ところ。そして、それを、亡くなるまで貫いたところ。

 2年ほど前、大阪大学で講演されてますね。この時、92歳。まだ学究心に衰えが感じられません、と言うより、まだ意欲満々ですよね、これは。下に、その講演のリンク貼りました。1時間を超えるトークですが、見た後やる気が出ます。是非。


大阪大学未来トーク 04 「物理学の周辺」南部陽一郎(2013.7.16) - YouTube

つまり、亡くなる直前まで研究やってたってことですよ

 研究は人生そのもの、だから、研究ができなくなったら、それは死ぬとき。それは、死ぬ直前まで研究し続ける、ということでもある。研究・科学に完成なんて無いですから。だから僕らにできることは、息絶えるまで精進し続けることだけなのでしょう。これは、僕の理想であり目標なのです。だから、それを体現して生き切った南部先生の人生は、やはり、羨ましいのです。

Ram Oren先生が来てます

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 表題の通り、あの世界的植物水分生理学者であるDuke大学のRam Oren先生がウチの研究室に滞在しています。5月中旬に既に来られていて、8月下旬まで滞在の予定です。もう付き合いは長いのですが、もともと僕がほんの学生の頃からの憧れの方ですし、今回のRam先生の滞在は、ホントに興奮なのです。

 写真は大学でやったBBQでのひとコマなんですが、たしか、どこで調べてきたんだか、織田から豊臣、そして徳川に至るまでの権力の移行過程についての質問を受けて、超丁寧に説明しているところです(実は、僕は歴男)。

 Ram先生の滞在中、色んな出来事が既に起きてます。これからも一杯、起きるでしょう。せっかくの機会なので、できるだけ丁寧に報告しようと思ってます。

 あ、忘れないうちに。Ram先生のFACE実験に関する講演の中で、ニーチェの言葉が引用されてました。

Conviction is the greater enemy of truth than lie.

訳すならば、「信念は、嘘よりも危険な真実の敵である。」ですかね。要するに、「思い込みほど真実に至るための障害になるものはない。真実にたどり着きたければ、柔軟に旧来の考えを捨てなさい。」ってことでしょうか。FACE実験初期に出てきた結果で全てを判断するのは性急だ、ということが言いたくて出てきた言葉ですが、科学者にとって常に胸にしとかなければならない言葉だなぁと思った次第なのです。

 あと、発表の中で、こんな風に哲学的表現を使うのってセンス良いなぁ、マネしよう、と思ったのでした。

書初め

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします

 

さて、ウチでは新年早々に書初めなどやりました。で、次女の作品。

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これは・・・書初めの範疇に入るんですかねぇ・・・。でも、僕的には気に入ったので、ここで紹介させていただきます。確かに女房に似てるし。

ノーベル賞のお話

 中村修二さん、ノーベル賞獲りましたね。それは、おめでとうございます、なんですが、ウチでの話題は、テレビで見たカリフォルニア大学での中村修二さんのスピーチ。女房が子供たちに聞きました。

あの英語、通じてると思う?

で、子供たち、

通じてないと思う。

さらに、続けます。

あ、でも、お父さんの英語、Del先生は完璧に理解してるよね。あんな感じで、普段喋ってる人たちには、聞き取れるのかも。

だと。なるほど、僕の英語って、そういうレベルな訳ね(涙)。

Gabyとの思い出

こんな写真も出てきました。っちゅうか、Gabyが日本に来て間もなく、世界中の仲間たちに送ったメールに添付されていた写真です。Gaby曰く、

 今、日本のTomoの研究室に滞在しています。Tomoのホスピタリティは素晴らしく、Tomoのオフィスのすぐ傍のオフィスを滞在中の居室としてあてがわれました。これが日本での私のオフィスです。

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 ちなみにTomoのオフィスはこの写真のような伝統的日本建築の一室です。この写真は、名古屋大学内にあるTomoの実験林から見たところで、Tomoのオフィスは金の鯱のちょうど真下にあります

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・・・いや、もう無茶苦茶なんですが、恐ろしいことにGabyはメールの中でこれが冗談だってこと一言も言ってません。こういうことについて、欧米人には冗談は通じないようで、多くの人が「すげぇな、Gaby!」と返事してきたようです。

 ある高名なイタリア人教授は、「Tomoの研究室も結構古い建物の中にあるんだなぁ」とだけ返してきたようです。それもそのはず、彼の研究室は、築400年の校舎の中にあるそうです。さすが、イタリア!

Delさんとの思い出

先月までウチの研究室に客員教授で滞在していたDelphis Levia先生(Delさん)ですが、こんな写真が出てきましたので紹介します。

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 お昼ご飯食べに行った先で、塀の上に一杯オブジェが飾ってありました。で、木のオブジェがあったんですが、そこで、Delさん、

これのStem flow測ろうぜ。

と。で、二人で写真撮ろうぜ、ということで上の写真なわけですが、頭の中は常に森林水文学なんですね、あらゆる話題が研究・森林水文学に結び付いていきます。僕も結構徹底してる(あらゆる話題が研究に繋がってしまう)方だと思うんですが、その僕が、「疲れないのかなぁ?」と思ってしまいます。

 まだまだ、僕は修行が足りませぬ。