熊谷朝臣の備忘録

自分のための備忘録です。時に告知板だったり、時に(誰も聞いてくれなかった)自慢話したりします。

AsiaFlux Workshop@Philippines行ってきました

タイトルの通り、AsiaFluxで招待講演の依頼を受けまして、喋ってきました、フィリピンで。もう帰国して2週間も経ってるんですけど、要するに、自慢したいわけです。で、何が自慢かと言うと、

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 閉会式で、招待講演者に記念品贈呈があったんですが(僕は、草履・短パン・”Duke”Tシャツ「ふざけてんのか貴様」3点セットですね)、僕の右隣は、あのDennis Baldocchi先生(カリフォルニアバークレー校)、僕の一人おいて左隣は、これまたあのXuhui Lee先生(エール大学)なのですよ。

 僕が学生の頃から散々論文を読み込んできた、と言うか、僕の研究の方向性を決めるのにかなり影響した、あの大先生方ですよ。もう、興奮そして自慢しかないでしょ。はっきり言って、フィリピンには、この先生方に会いに行ったようなものです。お二方とも一杯話しできたし、っちゅうか、すごく僕の研究を褒めてくれたんで、もう、「いつ死んでもよい」ってなもんですよ。

 あ、ウソです、まだ死にたくありません。でも、むちゃくちゃ嬉しかったんで、もう、このフィリピン行、大満足です。呼んでいただいたAsiaFlux関係者の皆様、特に、三枝さん、ものすごく感謝しています。ありがとうございました。

 しかし、Dennis先生、すごーく優しい人です。大人(たいじん)とは、こういう人のこと言うんだろうなぁと思いました。Gabyに似てると思いました、雰囲気だけでなく、””も。面白いことに、こういう傑物は同じような”形”に収斂していくのでしょうね。そうそう、Dennis先生との会話の中で、一つ心に残ったこと、

どんなに忙しくても、自分の研究能力を落とさないための最低限のトレーニングとして、毎年、ファーストオーサーとして最低2本の論文を書くことを自分の義務として課してるんだ。

あれほどの人でも、決して歩みを止めないのですよ。僕ごときは、もっともっと努力せねば、と思いました。

またまた変形菌

 調子に乗って、変形菌特集(?)第二弾です。

 下の写真、(女房が)ススホコリの仲間の変形体だと言うんですが、何なんでしょう?ポイントとしては、写真中央部の筋っぽいのが変形体っぽい気がするんだそうです(全然意味わからん)。あと、ナメクジが食べてるのも気になるそうです(ホントに意味わからん)。

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 触ってないので、粘り気を確認してないんだそうで、「うーん、残念、まだまだ未熟者だぁ」だそうです(うーん、意味わからん)。翌々日に確認に行ったそうですが、撤去されてたそうです。管理の良い緑地も考えものですね(?)。

 さて、どうお考えでしょう、マニアのみなさん(ってsatoさんだけ?)。

 

誰か同定してもらえませんか?

 忙し過ぎて、長いこと日記書いてませんでしたが(今も忙しいですが)、こんなことは是非書きたくなります。

 休日ですが、まあ、いつものように事務系仕事ですね。そんな中、女房が近所の緑地に行こうと誘う。「変形菌、見に行こう。現在の環境条件を鑑みるに、必ず出現しているはず。今しかない!」と。あ、ちなみに、変形菌とは、あの南方熊楠で有名な粘菌のことです。こんなとこにもマニアさが醸し出されてますね。

 で、女房が下の写真の変形菌を発見しました。ムラサキホコリ科の仲間に見えます。僕は、オオムラサキホコリだと思うのですが、女房は違うと主張してます。その主張はなかなかに専門的でついていけません(金属光沢がどうとかこーとか、わけわからん・・・)

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 ちなみに、国立科学博物館の変形菌のホームページでは博物館の標本に愛知県産ものは少ないようですね。で、少々興奮したわけですが、ここでみなさまに質問です。

どなたか、これが何者か、わかりませんか?

教えてもらえたら嬉しいです(僕じゃなく、女房が)。よろしくお願いします。

 

 

デルさんとWOOD JOB

 University of DelawareのDelphis Levia教授(僕は、”デルさん”と呼んでる)が、客員教授としてHyARCに滞在されてます。8月中頃までの日本滞在です。言うまでなく、デルさんは、世界で最も成功した遮断蒸発研究者の一人であり、この手の研究に化学の技術をうまく融合しているという点でも、有名な研究者です。デルさんの滞在中にどれだけの共同研究が生み出せるか、楽しみですねぇ。

 そうそう、これは日記に書いときたいですねぇ。昨日、家族で映画WOOD JOB見てきました。純粋に良い映画だと思いましたよ。でも、僕にとっては、特別な映画でしたねぇ・・・。

そう、何年か前まで、僕は、間違いなく、あそこにいたんだ。

という意味で。普通の人は、きっとこんな場面でウルウルしたりしないであろう場面で、なんかウルウルしたりして、5分置きくらいに出てくる山の風景だけで(あと、村人の雰囲気なんかも)、ウルウル

「「論文が全てだ」って言うな」って言うな

 前回のブログの続きになります。分かりにくいタイトルですが、

「論文が全て」ってわけじゃないないだろ。もっと大事なもんがあるだろ。

っていう人、僕の周りに意外といます。

 で、よく、こんな例え話します。誰かが、「俺は100mを9秒57で走れる。」と言ったとします。確かに、一番大事なのは、”9秒57で走れる能力でしょう。でも、それは、万人に見える形で示されない限り、”ただ言ってるだけ”になります。もっと大事なのは、”9秒57で走れるという事実”なのです。

 じゃ、その事実は、どうやって示しますか。簡単なことです。記録を認定することが可能な計測能力のある記録会に出て記録を示すだけのことです。みんなの前で走りゃいいんですよ。その記録会は、別にオリンピックである必要はありませんが、記録の認定能力がある大会でなければなりませんね。ま、大きな大会であればあるほど、恰好が良いということはありますし、大きな大会の方が、記録の計測技術が高いでしょう。

 さて、科学研究です。「こんなことがわかった!!」「こんなことができた!!」という事実こそが一番大事なことです。”ただ言うだけ”ではダメなのは言うまでもありません。

 では、その事実はどうやって示すのか。公開実験とか詳細な研究の流れを示しながらの記者会見とかも有り得るかもしれません。が、やはり、一番は”記録認定能力のある”学術誌論文を発表することです。論文を発表することこそが、”大会に出て走る”ことだと言えます。で、”大きな大会で走る”のがより効果的、なのです。

「俺は、すごく速く走れるけど、大会には出たことないんだよね。これからも出るつもりないし。」

ってアスリートのこと、誰が信用しますか?だから、やっぱり、科学研究にとって、

「論文が全て」

と言えるのです。

「すごいなぁ」は間違いだったか

 以前、単純に「すごいなぁ」と思ったのですが、小保方さん、さすがに、あれはダメですね。STAPという現象には夢があって、その存在を信じたい気持ちもありますが、あの一連の流れから科学者で彼女を信じる人はいないんじゃないでしょうか。

 悪意が有ったとか、無かったとか、は、はっきり言ってどうでもいいです。彼女は、

涙で枕を濡らした日が・・・」とか「もうやめよう、もうやめよう、という日が・・・」とか、「論文通すまでに2年かかった・・・」とか言ってます。

 そんなに苦労した論文です。そもそも、研究者にとって、論文って、その人そのものです。それは、刀工にとっての刀、陶工にとっての陶器、料理人にとっての料理でしょう。研究者にとっては、論文こそが、職人としての作品なのです。一流の職人が、自分の作品について、「ありゃ、材料、間違えちゃった、てへ。」とか「小麦粉のつもりが、石膏入れちゃった、うふ。」とか言ってる姿、想像できませんよね。これと同じことです。苦労して苦労して書いた論文で、これは会心の作だと思えるものなら、一字一句にだって神経が張り巡らされると思います。それが研究者にとっての論文なはずです。

 で、そんなに苦労した論文です。それで、あんなミス連発。要するに、小保方さんは職人(=研究者)ではないのです。・・・まるで、ワイドショーネタのようになってます。糾弾とか擁護とか。そんな問題じゃないんだと思います。ただ単に、ある研究者がダメなやつだと証明された、それだけのことです。そして、大抵の場合、そんな人は最後には職業研究者になれない、ってだけのことです。

 

 このまんまじゃ、あまり気分良くないので、僕の大好きな研究者を紹介させて下さい。シカゴ大学加藤和也先生です。是非、下の文章お読み下さい。

http://www.chem.konan-u.ac.jp/applphys/web_material/math_kato.pdf

 

 このくらいでないと、超一流(一流ではない)にはなれないんでしょう。すごく憧れるのですが、これはさすがに無理ですよね、きっと(と言うか、僕は、ごくごく普通の、標準的人間ですから)。

狙われてます

 息抜きに日記書いたりします。

 いや、忙しい。ほぼ毎日、なんかの締切がある感じ。

 ホントに気持ち的にも追い込まれているみたいで、殺し屋に狙われる夢、見ました。

 通勤途中に見かける一軒家、それがなぜか僕の家です。その家の周りを殺し屋が数人、明らかに銃を持って取り囲んでいます。それに気づいた僕は、(なぜか存在する)屋根裏の隠し部屋に隠れます。

「参ったなぁ、こんなことになるんだったら、普段から、銃を買い溜めておけばよかった。」

 そんなこと考えながら部屋の中で武器を探します。あったあったありました、銃がありました。でも、よく見ると、

「なんだよ、銀玉鉄砲じゃねぇかよっ!!どうやって、こんなんで戦うんだよっ!!」

 他になんかないかなぁ、と部屋の中を探します。・・・とがった金属のヘラみたいなもんが一杯出てきました(これって、土壌サンプル取るのにつかうヤツでは・・・)。

「しょうがない、これを手裏剣みたいにして使おう。」

肚を決めました、「これで戦おう」と(自分にそんな勇気があることに、後でビックリしました)。で、ここで目が覚めました。

 この夢の中身、丁寧に解釈していくと、なかなか示唆に富んでますね。さて、殺されないように頑張りますか。